大規模修繕っていったい何?
マンション(建物)は常に雨風、直射日光、沿岸地域では潮風にも晒される厳しい環境に耐えています。長年放っておけばボロボロになってしまいます。建物の資産価値や皆さんが安心して暮らす環境を維持するために、建物共用部の修繕・改修を行うことが大規模修繕です。国土交通省では10年から12年に一度の実施を推奨しています。
建物のどこを修繕・改修するの?

外壁
期間:8年~12年(毎回の大規模修繕時)
外壁は特にひび割れが注意。
特にタイルの場合はタイルとタイルの間や窓枠の シーリングが劣化してくると雨水の侵入や剥落につながります。また、外壁が汚れているとマンションのイメージも低下します。

鉄部
期間:5年~6年(大規模修繕の間)
共用階段の手すり、メーターボックス・パイプスペースなどの扉、消火栓や消火ホースボックスなどのメンテナンスは錆びやすいので5年に一度点検、塗装が必要です。

屋上防水
期間:10年~12年ごと(毎回の大規模修繕時)
建物のなかでも一番重要な部分です。防水層に劣化やひび割れがあると、そこから水が入り込みコンクリートに影響を及ぼし、漏水の原因にもなります。

バルコニー
期間:10年~12年(毎回の大規模修繕時)
バルコニーは専有使用権のある共用部です。大規模修繕時にはバルコニーの床、天井、手すり、手すり壁も改修・修繕の対象になります。

共用廊下(外部開放廊下)床
期間:10年~12年(毎回の大規模修繕時、または都度点検)
屋内と屋外では劣化のスピードは異なりますが、多くの人が毎日歩く箇所ですので、 シートの剥がれ、めくれは事故の原因にもなります。
部分的にでも劣化箇所がある場合は 修繕・改修したほうがよいでしょう。

給水管
期間:20年~25年(大規模修繕とは別に計画)
最近は管自体の素材もよくなってきていますが、水は直接人の体に影響します。
写真は錆が進行した給水管内の様子です。こうなるまえに、点検はしておきましょう。

排水管
期間:30年目安(大規模修繕とは別に計画)
排水管というと縦管ばかりが気になりますが、最下層の横引き管との繋ぎ目が要注意箇所です。
継ぎ手に漏水があるとそれが原因で錆が生じ、排水圧力に耐えられなくなります。
また、横引き管に汚物が溜まっていると、管の破損につながります。
大規模修繕をやらなかったら、どうなるの?
修繕予算が足りない、理事会が機能していないなどの理由で大規模修繕を何年も実施していないマンションがごくまれにあります。大規模修繕を行わないと建物は劣化し、汚れも目立ちます。劣化するともともとの強度が失われますので、暮らしに危険が生じます。また、タイルの剥落により人的、物的に被害が生じた場合は甚大な損害を賠償することになります。そして、大事な資産の価値がどんどん低下していきます。

大規模修繕はどうやって進めるの?
マンションをご購入した際に、「長期修繕計画書」というのを渡されていませんか?これには、大規模修繕をはじめとする各箇所の修繕計画が明記されています。大規模修繕はこの計画に則って始めます。しかし、ほとんどの場合管理会社からの声掛けでスタートすることが多いようです。

管理組合として何を準備すればいいの?
- 住民の皆さんの合意形成
マンションの最高決定機関は「管理組合」すなわち、住民の皆さんです。住民の皆さんの合意がなく、勝手に工事を始めたら大きなトラブルになります。大規模修繕の工事期間は3~6か月と長いものです。住民の納得がなければ、完璧な大規模修繕は望めません。 - 修繕委員会などの専門委員会の発足
長期間に渡るため、途中で交代する可能性のある理事会とは別組織が必要。しかし、決定権はなくあくまでも理事会の諮問機関。 - 修繕積立金などの資金の確認
修繕積立金と修繕・改修規模は密接な関係にあります。資金によってどこを修繕し、どこを先にのばすかの検討も必要になります。 - どの方式で進めるかの検討
コンサルを入れて一緒に進めるか(設計・監理方式)、施工会社と直接交渉し進める か(責任施工方式)、管理会社に任せる(管理会社一任方式)を決めます。